ほくろ除去自分でできる?失敗例とリスクを解説

ほくろ除去自分でできる?失敗例とリスクを解説

「このほくろ、自分で取れないかな?」

そんな風に考えたことはありませんか?

鏡を見るたびに気になるほくろは、できれば手軽に自宅で除去したいと思う気持ちは理解できます。

しかし、結論から申し上げると、ほくろを自分で除去するのは絶対にNGです。

インターネット上には「自分でほくろ除去できる方法」が数多く紹介されていますが、それらは非常に危険な行為です。

傷跡が残る・やけど痕ができる・ほくろが再発する・皮膚がんを見逃す・感染症や皮膚壊死を引き起こすなど、深刻なリスクが伴います。

本記事では、美容皮膚科の専門家の見解や最新データをもとに、自分でほくろを取ることのリスクや失敗例、そして安全にほくろを除去するクリニックでの方法まで徹底解説します。

あなたの大切な肌を守るために、ぜひ最後までお読みください。

早速ほくろ除去がおすすめのクリニックを知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

目次

ほくろ除去を自分でするのは危険?結論から解説

ほくろを自分で除去しようと考えている方は多いですが、医学的観点から見ると非常に危険な行為です。

ここでは、なぜ自己処置が絶対にNGなのか、そしてどのようなリスクがあるのかを詳しく解説します。

ほくろ除去を自分でするのは絶対にNG

まず最初に強調したいのは、ほくろを自分で除去するのは絶対に禁止だということです。

医師の立場からも「大前提として、自分でほくろを完全に取り切ることはできません」と断言されています。

ほくろは皮膚の深い層まで細胞が入り込んでおり、素人が表面を削った程度では根本的な除去はできません。

中途半端な処置となり、傷だけが残ってほくろは再発するケースがほとんどです。

「小さいほくろだから自分で取れるかも」「病院に行くのは面倒」という考えは非常に危険です。

安易に「手軽で安いから」と自己処理をすると、予期せぬ大きな傷跡が残り、後悔する可能性が高いと専門医は警告しています。

医療機関でのほくろ除去でもわずかな傷は残りますが、適切な方法・機器が使えない自己処置では、より深刻な傷痕や副作用が起こりやすいのです。

後述する通り、感染症や皮膚の壊死、がんの見落としといった最悪の事態にもつながりかねません。

編集部

ほくろ取りは医療行為であり、絶対に素人判断で行ってはいけません

自分でほくろ除去を試みると起こりうるリスク

では具体的に、ほくろを自分で取ろうとするとどんなリスクがあるのでしょうか。

主な危険をまとめます。

深刻な傷跡
素人が切ったり焼いたりすると皮膚の損傷が大きくなり、肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)やケロイド、色素沈着などが残りやすくなります。専門的な縫合やアフターケアができないためです。

火傷(やけど)
クリームやお灸による除去は、皮膚を火傷させて剥がす行為です。適切な強度で行わないと広範囲に重度の火傷を負い、そこから感染したり跡が残ったりする危険があります。


ほくろ周辺には毛細血管が集まっており、素人の手では止血が不十分になりがちです。大量出血したり、皮下に血が溜まって血腫(皮下出血の塊)ができるリスクもあります。


自宅は医療施設のように無菌ではありません。不潔な器具や環境で処置すると、傷口から細菌が侵入し化膿性の炎症を起こすことがあります。最悪の場合、蜂窩織炎(ほうかしきえん)という皮膚の深い感染症で患部や手足全体が腫れあがるケースもあります。

再発
表面だけ取っても根が残ればまたほくろは生えてきます。特に素人の処置は不十分になりがちで、何度も除去と再発を繰り返しかねません。そのたび傷が増え、さらにがん化のリスクも指摘されています。


顔や手足には細かな神経が通っています。自己流で深く傷つけてしまうと、神経まで切断し痺れや感覚麻痺、慢性的な痛みが残る可能性もあります。日常生活に支障をきたす重大な合併症です。


もっとも見逃せないのがこれです。一見ただのほくろでも、基底細胞がんや悪性黒色腫(メラノーマ)といった皮膚がんの可能性があります。自己判断で削ってしまうと病理検査もできず、本来必要だった治療が遅れてしまう恐れがあります。

このように、自分でほくろを取ることはリスクだらけです。

以下では、実際に巷で囁かれている「自分でほくろを除去する方法」の具体例と、それぞれに潜む危険性を詳しく見ていきましょう。

自分でほくろを除去する方法とその危険性

インターネット上では様々な「自分でほくろを取る方法」が紹介されていますが、どれも医学的に危険な行為です。

ここでは代表的なセルフほくろ除去の方法と、それぞれに潜む深刻なリスクについて解説します。

ほくろ除去クリームを使う方法

「塗るだけでほくろが取れる」と宣伝されているほくろ除去クリームは、市販や海外通販サイトで安価に購入できます。

しかし、ほくろ除去クリームの使用は非常に危険です。

これらのクリームには皮膚組織を溶かす強力な酸やアルカリが含まれており、塗った部分を化学的に焼いてほくろを剥がそうとします。

編集部

使い方を誤れば重度の皮膚障害を引き起こすリスクがあります。

国民生活センターには中国製の「点痣膏(てんじこう)」を使用して「火傷のような痕が残った」との被害報告が寄せられています。

クリームで無理に皮膚を溶かせばやけどと同じ状態になり、赤くただれたり黒ずんだ痕が長く残ります。

さらに厄介なのは、一度できた傷跡は簡単には消えないことです。「綺麗に取れない」と思って何度も塗り続けると、その部分を繰り返し火傷させてしまい、じわじわと肌を傷つける結果になります。

結局ほくろも取りきれず、傷だけが深くなるケースがほとんどです。

皮膚科医も「クリームで取れないほくろは医療機関で除去すべき」と強調しています。

もぐさ(お灸)でほくろを焼く方法

もぐさとはヨモギを乾燥させて固めたもので、お灸に使われるものです。これをほくろの上に乗せて火を点け、燃焼熱でほくろを焼き切ろうという民間療法的な方法があります。

しかし、もぐさによるセルフほくろ焼却は大変危険です。

高温で皮膚を焼く行為ですから、火傷を負うリスクが極めて高くなります。

温度や当てる時間の加減を素人が判断するのは難しく、ほくろ周辺の正常な皮膚まで深く焼いてしまい、重度の火傷傷害を負いかねません。

重い火傷を負えば、傷口から細菌感染を起こして化膿したり、治った後も瘢痕(傷跡)が残る可能性があります。

痛みも強く伴いますし、そもそもほくろが根深い場合は表面を焼いただけでは消えず無意味です。

編集部

焼けただれた傷だけが残り、ほくろは残存・再発するという結果になりかねません。

お灸は本来ツボ刺激など東洋医学の範疇ですが、ほくろ除去目的で素人が行えばデメリットしかありません。

「もぐさでほくろが取れた」という科学的根拠はありません

ほくろ除去にレーザーペンを使う方法

近年、「ほくろ除去用レーザーペン」なる家庭用デバイスがインターネット上で販売されています。

ペン型の先端から電気やレーザーを発してほくろを焼灼する道具で、価格も手頃なため人気です。

しかし、専門医はこうした市販のほくろ除去ペンにも警鐘を鳴らしています。

メーカーは「簡単」「誰でも使える」と謳っていますが、実際には一歩間違うと重い副作用や後遺症が起こる可能性があります。

レーザーペンの問題点は、「焼く」「切る」のリスクを全て内包している点です。

ペン先でほくろを焦がすため、程度によっては深い傷になり跡が残ります。

医療用レーザーと異なり出力や照射範囲のコントロールも難しく、正常な皮膚まで傷つける恐れがあります。

麻酔も使えないので痛みで途中でやめてしまい、ほくろを中途半端に削って再発させるリスクも高いです。

さらに怖いのは、自己処置でトラブルが起きた場合、健康保険の適用外になってしまうことです。

最初から医師に任せていれば最小限の傷で済んだはずが、自己流で悪化させたせいで余計な時間と費用、そして後悔が残る事態は避けたいものです。

針やカッターでほくろを切り取る方法

消毒した縫い針やカッターナイフ、ハサミなどで物理的にほくろをえぐり取るという荒っぽい方法もあります。

インターネットの掲示板や知恵袋に「小さいほくろなら爪切りで切った」という極端な体験談が載っていることもあります。

しかし、針やカッターでほくろを自分で切り取るのは絶対にやめてください。

専門家から見ると論外の行為で、重大なリスクがあります。

ほくろ部分には細かな血管が集中しているため、無理に切ると止まらない出血を引き起こす危険があります。

もちろん麻酔なしで切るわけですから激痛を伴い、途中で耐えられず中断すればほくろは半分だけ切れて傷だけ残る最悪の状態になります。

家庭にある針や刃物を完全に滅菌消毒するのは困難です。

傷口から細菌が侵入し化膿感染するリスクが高まり、最悪の場合、組織が壊死して周囲の感覚が失われたり全身の体調不良を引き起こすこともあります。

切り取った傷は縫合しなければ綺麗に閉じず、大きな穴や裂傷がそのまま治り、醜い傷痕として残ります。

仮にうまく取れたように見えても、「取り残しがないか」「悪性ではないか」確認する術もなく、非常にリスクが高い行為です。

中学生が自分でほくろ除去するのは特に危険

未成年、特に中学生のような若年層が自分でほくろを取ろうとする危険性は、大人以上に深刻です。

思春期は見た目のコンプレックスに敏感な時期で、「学校でからかわれたから」「ネットで見た方法を試したい」といった理由で安易に実行してしまうケースも考えられます。

子どもは傷の深刻さや感染症の怖さを十分に理解していない場合があります。

「面白半分」でほくろを切り取ろうとすることも考えられるため、そのような兆候がある場合は親御さんが厳重に注意する必要があります。

実際に最悪の場合、適切な処置をしなかったせいで皮膚が壊死してしまうリスクすらあります。

また、中学生など未成年者が医療行為を受けるには基本的に親の同意・承諾が必要です。

自己判断で勝手にやってしまうと、トラブルが起きても周囲の大人に相談できず症状を悪化させる恐れがあります。

若い肌は将来にわたり変化していきます。思春期のダメージが一生の傷跡として残れば、その後の生活に大きな影響を与えるかもしれません。

中学生の皆さんへ

ほくろが気になる場合は、決して自分で取ろうとせず、まずは親御さんや皮膚科医に相談してください。

ほくろ除去を自分でした場合のリスクと失敗例

自己流でほくろを除去すると、様々な深刻な後遺症が残る可能性があります。

ここでは、実際に起こりうる失敗例や後悔例を具体的なリスクごとに解説し、同じ失敗をしないための知識をお伝えします。

ほくろ除去を自分ですると傷跡が残る

自己流でほくろを除去すると高確率で目立つ傷跡が残ります。これはほくろの大きさや方法に関わらず共通のリスクです。

医療機関でレーザーや切除を受けた場合でも微小な傷は避けられませんが、適切な処置とアフターケアにより傷痕は最小限に抑えられます。

編集部

しかし素人が行うと、傷跡が大きく残ってしまうことがほぼ確実です。

メスで切った場合、きちんと縫合しなければ傷口が開いたまま治癒するため線状の太い傷痕になります。

レーザーペンで焼いた場合も、丸くえぐれた瘢痕(クレーター状の跡)ができるでしょう。

どちらにせよ、医師による丁寧な処置よりもはるかに醜い傷跡が残るリスクが高いのです。

特に自己処置では傷口を清潔に保ったり保護することも不十分なため、傷が治る過程で肉芽が盛り上がり肥厚性瘢痕になったり、メラニンが沈着して色素沈着を起こしたりしがちです。

結果として、元のほくろよりも目立つ茶色い痕や盛り上がった傷がいつまでも残ってしまいます。

「ほくろを取ってコンプレックスを解消したかったのに、以前よりひどい傷跡が残ってしまった」という後悔は絶対に避けたいものです。

ほくろ除去を自分でするとやけどの跡が残る

ほくろ除去クリームやもぐさ、自宅用レーザーなどは皮膚を火傷させるような作用でほくろを取ろうとします。

編集部

そのため、自己処置で起こりやすいのが火傷痕(やけどの跡)です。

クリームに含まれる強酸・強アルカリによって皮膚がただれた場合、赤黒く色素沈着した痕が残ることがあります。

お灸でもぐさで焼いた場合も、くっきりと火傷の痕が残ってしまい、皮膚が硬く盛り上がったり色が抜けたりする可能性があります。

火傷は傷の深さによっては痕が一生消えないこともあり、大変注意が必要です。

クリームを使った人の中には、「ヒリヒリして皮膚が真っ赤になった」「黒いかさぶたが取れた後、ピンク色の生々しい傷が残った」といった声もあります。

結局シミのような跡が残ったり、逆に過剰な色素沈着で濃いシミができてしまった例も報告されています。

特に同じ箇所に何度も薬を塗ったり焼いたりすると、慢性的な炎症で「炎症後色素沈着」を生じ、周囲の皮膚までくすんでしまうことがあります。

結局ほくろ除去どころか、火傷の傷跡という新たな悩みを抱える結果になりかねません。

ほくろ除去を自分でするとほくろが再発する

自分でほくろを取ろうとした多くの人が直面するのが、「結局また同じ場所にほくろが再発した…」という失敗です。

編集部

これは素人ではほくろを根元から完全に除去できないために起こります。

ほくろは皮膚の深い部分(真皮内)に「母斑細胞」という細胞の塊が根を張っています。

表面をどんなに削っても、この根が残っていればいずれ再び色素細胞が増殖し、ほくろが盛り上がってきます。

経過の長いほくろや盛り上がったタイプのほくろほど根が深いため、自分で除去を試みても表面しか取れていない可能性が高いのです。

専門の形成外科医が処置した場合でも、大きめのほくろでは稀に再発することがあります。

クリニックでは再発率を下げる工夫(例:CO2レーザーとQスイッチレーザーを組み合わせて照射する等)をしているほどです。

しかし素人の自己処置ではそういった対策も不可能で、むしろ不完全な削り方をすることで再発のリスクを高めてしまいます。

自分で取ると痛みを避けようとして浅く削りがちで、なおさら取り残しが起きます。その結果、除去と再発を繰り返す悪循環に陥る危険もあります。

ほくろ除去を自分ですると皮膚がんを見逃すリスクがある

ほくろの自己除去で最も重大なリスクが、この皮膚がんを見逃す危険です。

実は「ほくろだと思っていたものが皮膚がんだった」というケースは珍しくありません。

特に悪性黒色腫(メラノーマ)はほくろと見分けがつきにくく、「ほくろが急に大きくなった」「形がいびつになった」場合は注意が必要です。

医師であればダーモスコピーという拡大鏡で模様を観察したり、部分的に切除して病理検査を行うことで悪性かどうか判断します。

編集部

しかし素人が見た目だけでがんかどうかを判断するのは不可能です。

たとえ色や形がおかしくても、「ちょっと変わったほくろかな?」と思って自分で取ってしまうかもしれません。

もしそれが悪性腫瘍だった場合、自分で傷つけてしまうとがん細胞を刺激して余計に拡がるリスクもあります。

さらに自己処置では病変部を丸ごと切除できないため、一部が体内に残って見逃され、がんが進行・転移してしまう可能性すらあります。

形成外科医の経験でも500~1000人に1人程度の割合でダーモスコピー上良性と判断したほくろに悪性が混じっていることがあると言います。

編集部

特に皮膚がんは早期発見・治療が極めて重要です。

ほくろ除去を自分ですると感染症や皮膚壊死のリスクがある

セルフでほくろをいじった結果、感染症にかかってしまったという失敗談も少なくありません。

非衛生的な環境・器具で処置をすると細菌が傷口に入り込み、患部が赤く腫れて強い痛みや膿(うみ)が出る化膿性炎症を引き起こします。

特に針や刃物で切った場合は傷口が大きく開くため細菌が侵入しやすく、適切な抗生剤治療をしないと症状が悪化します。

手足など血行が悪い部分では蜂窩織炎(ほうかしきえん)といって皮下組織全体に及ぶ重篤な感染症に進展することもあります。

蜂窩織炎になると患部だけでなく手足全体が真っ赤に腫れ上がり、高熱が出て入院が必要になるケースもあります。

さらに怖いのは、感染が進行すると組織が死んでしまう壊死を起こすことです。

感染により皮膚や皮下の細胞が壊死すると、その部分の神経も働かなくなり感覚を失ったり、全身の健康にも悪影響を及ぼします。

最悪の場合、壊死した部位を外科的に切除しなければならなくなることもあり得ます。

自己処置後に傷が腫れてきたり熱を持つ場合、それは感染のサインです。

「病院に行きづらい」と放置すればさらに悪化し、取り返しのつかない損傷が残るかもしれません。

そもそもほくろとは?基礎知識を解説

ほくろの除去を考える前に、まず「ほくろとは何か」を正しく理解しておくことが大切です。

ここでは、ほくろの定義や種類、できる原因、シミとの違い、そして除去すべきほくろの見分け方について解説します。

ほくろの定義と種類

一般に「ほくろ」と呼ばれるものは、医学的には「色素性母斑(しきそせいぼはん)」あるいは「母斑細胞母斑」といいます。

皮膚の一部分にメラニン色素を作る細胞が集まり、増殖してできた良性の腫瘍です。

色は肌色~茶色~黒色まで様々で、大きさも数ミリから数センチに及ぶものまで多彩です。

小さいもの(直径1.5cm以下)は黒子(こくし)とも呼ばれ、3~4歳頃から現れて増えていきます。

一方、直径1.5cmを超える大きなものはアザ(母斑)と分類され、生まれつき存在する先天性のものも多いです。

編集部

ほくろは母斑細胞が集まる場所によって主に3種類に分類されます。

  • 境界母斑は表皮と真皮の境目に母斑細胞があるタイプで、薄く小さく平らなことが多いです。
  • 複合母斑は表皮~真皮内にまたがって存在し、境界母斑より色が濃くやや盛り上がることもあります。
  • 真皮内母斑は真皮の深い部分にあり、年齢とともに盛り上がって半球状になり、毛が生えることもあります。

これらはいずれも良性ですが、直径20cm以上の巨大なほくろは悪性黒色腫を発生しやすいという報告もあります。

ほくろができる原因

ほくろの発生には遺伝的要因と環境要因が関与します。

先天的にほくろができやすい体質の人もいますが、後天的な要因として代表的なのは紫外線物理的刺激です。

日光に含まれるUV(紫外線)は皮膚のメラノサイトを刺激し、メラニン色素を過剰に作らせます。

その結果、一部のメラノサイトが変異して母斑細胞となり、ほくろの元になることがあります。

特に日焼けを頻繁にする人は、紫外線対策を怠ると新しいほくろが増えたり既存のほくろが濃くなる原因になります。

また、肌を慢性的に擦ったり圧迫したりすることも、ほくろ発生の一因です。

摩擦や傷などの刺激が皮膚に加わると、その部位でメラノサイトが活性化しやすくなります。

例えば首周りを衣服で擦り続けたり、無意識に皮膚を掻く癖があると、そこにほくろができる可能性があります。

その他、ホルモンバランスの変化も影響すると言われます。

思春期や妊娠中にほくろが増えたり濃くなったという話もあり、体内のメラニン産生のコントロールが変化することが要因と考えられています。

編集部

日焼け止めの使用や肌を傷つけない生活を心がけることで新しいほくろを増やさない努力はできます。

ほくろとシミの違い

ほくろと間違えやすい皮膚の変化として「シミ」があります。

編集部

見た目が似ていて混同されがちですが、ほくろとシミは原因も正体も異なるものです。

ほくろは、メラノサイトが変異した母斑細胞の塊(良性腫瘍)です。

色は黒っぽく、盛り上がっていることも多く、細胞の増殖による立体的な構造を持ちます。

シミは、メラノサイトが作り出したメラニン色素が皮膚に沈着したものです。

紫外線ダメージや加齢で起こる色素沈着現象で、細胞の塊ではありません。色は薄茶~濃茶で、基本的に平坦なのが特徴です。

簡単に言えば、ほくろは「盛り上がる黒い点」、シミは「平らな茶色い染み」と区別できます。

ただし例外もあり、平らなほくろや濃いシミも存在するため、自分で判断がつかない場合は専門医に診てもらうのが確実です。

また治療法も異なります。ほくろは切除やレーザーで細胞ごと除去する必要がありますが、シミは美白剤やレーザートーニングなどで色素を薄くする治療が主体です。

市販のほくろ除去ペンでシミを取ることはほぼ不可能で、素人が無闇に皮膚表面を焼いても逆効果で炎症後色素沈着を招く恐れが高いです。

除去すべきほくろの見分け方

基本的に、ほくろは良性である限り無理に除去する必要はありません。

美容上気になる場合に取ることが多いですが、医学的には「悪性の疑いがあるか」「物理的に日常生活で支障があるか」が除去すべきかどうかの判断ポイントになります。

悪性を疑うほくろの特徴として、以下の点に注意が必要です。

形が不規則(円形・楕円形ではなくいびつな形)
境界がギザギザ(ほくろと皮膚の境目が滲んで輪郭が不明瞭)
色ムラがある(一つのほくろの中に濃淡や複数の色が混在)
大きさが6mm以上(直径6mmを超える大きめのほくろ)
変化している(短期間で急に大きくなったり、色や形が変化したり、出血・潰瘍化)

上記に当てはまる場合、悪性黒色腫(メラノーマ)など皮膚がんの可能性があります。

ただし素人判断は禁物なので、一つでも疑わしい特徴があれば早めに皮膚科を受診してください。

また、ほくろに似ている皮膚疾患として脂漏性角化症(老人性いぼ)や基底細胞がん、皮膚線維腫などがあります。

良性で特に問題のないほくろであれば無理に除去する必要はなく、取るかどうかはあくまで本人の希望と医師の判断になります。

クリニックで安全にほくろを除去する方法

自己処理の危険性を理解したら、次は安全な除去方法を知りましょう。

ここでは、皮膚科・形成外科など医療機関で行われている代表的なほくろ除去の方法を紹介します。

クリニックでのほくろ除去方法①炭酸ガスレーザー治療

炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)は、現在ほくろ除去で広く用いられている治療法の一つです。

炭酸ガスレーザーの光は皮膚内の水分に反応して強い熱エネルギーを発生させ、照射部位の組織を瞬時に蒸散(気化)させます。

編集部

CO2レーザーの利点は、出血がほとんどなく周囲組織へのダメージが少ないことです。

照射と同時に血管も焼灼されるため出血が抑えられ、切開に比べて傷がきれいになりやすい傾向があります。

また1回の施術で複数個のほくろを短時間で除去できるため、顔中の小さなほくろを一度に取ってしまいたいといった希望にも向いています。

ただし、レーザー治療に適しているのは小さくて平らなほくろです。

大きかったり盛り上がりの強いほくろはレーザーでは何度も照射が必要になり、かえって傷跡が目立つことがあります。

根が深い場合、レーザーでは取り切れず再発することもまれにあります。

施術後はほくろのあった部分が小さなくぼみ状の傷になりますが、1~2週間ほどでかさぶたが取れてピンク色の新しい皮膚が再生してきます。

ダウンタイムは比較的短く、顔の小さいほくろであれば施術当日からシャワーやメイクが可能なケースもあります。

クリニックでのほくろ除去方法②切開法(メスによる切除)

切開法(外科的切除)は、メスでほくろを含む皮膚を切り取り、縫合する手術による除去方法です。

確実にほくろを除去できる方法として現在でも行われており、特に大きなほくろや悪性の可能性が否定できないほくろの場合に選択されます。

手順としては局所麻酔を行った上で、ほくろの周囲の皮膚ごと紡錘形(楕円形)に切り抜きます。

編集部

取り残しがないよう、ほくろ組織を根元から完全に切除することが目的です。

その後、傷口の両端を糸で丁寧に縫い合わせます。切除したほくろは必要に応じて病理検査に回し、悪性かどうか確認できます。

切開法のメリットは、再発のリスクが最も低い点です。ほくろを丸ごと取ってしまうため、取り残しによる再発がほぼ起こりません。

また切除した組織を顕微鏡検査できるので安心感があります。

デメリットは、傷跡が線状に残ることです。しかし形成外科の技術で丁寧に縫合すれば、時間の経過とともに細い白い線程度になり、さほど目立たなくなる場合も多いです。

むしろ大きなほくろをレーザーで削った場合の丸い痕より、切開縫合後の線状の傷の方が目立たないケースもあります。

クリニックでのほくろ除去方法③電気メスによるくり抜き法

電気メスによるくり抜き法は、電気メス(高周波電流で熱を発するメス)を用いてほくろを焼き切る方法です。

イメージとしては、盛り上がったほくろを根元から丸く刳り抜く(くりぬく)ように除去します。

具体的には、局所麻酔後にほくろの周囲皮膚に円形の切れ目を入れ、逆円錐(逆ピラミッド)状にほくろを組織ごとくり抜きます。

電気メスを使うことで出血を止めつつ組織を切除できるため、レーザーよりもしっかり根元から取れる反面、切開ほど大きな傷にならないのが特徴です。

電気メス治療に適しているのは、直径5mm以下程度の小さなほくろや、少し盛り上がったほくろです。

切開ほど大掛かりではなく、縫合を必要としないケースも多いです。

刳り抜いた後は少しくぼんだ傷になりますが、皮膚が再生してくると徐々に平らになり、傷跡はレーザー治療後と同程度かそれ以下に目立たなくなります。

編集部

再発のしにくさも利点の一つです。

レーザーが表面を削るのに対し、くり抜き法は組織ごと取り除くため、同じほくろが再び出てくる可能性を低く抑えられます。

しかも傷跡が比較的小さく済むため、5mm未満のほくろなら切開するより体への負担が軽いとされています。

クリニックでのほくろ除去方法④凍結療法

凍結療法(冷凍凝固法)は、液体窒素など極低温の物質で患部を凍らせて組織を壊死させ、ほくろを除去する方法です。

皮膚科では主にイボ(ウイルス性疣贅)の治療に使われる手法ですが、小さなほくろに応用されることもあります。

具体的には、マイナス196℃の液体窒素を含ませた綿棒やスプレーでほくろ部分を数十秒間冷却します。

そうするとその部分の細胞が凍って壊れ、数日~1週間後にかさぶた状になって剥がれ落ちるという仕組みです。

凍結療法のメリットは、メスを入れないため出血がなく、施術自体も短時間で済む点です。また強くやりすぎなければ傷が残りにくいとも言われ、一度に複数の部位を治療することも比較的容易です。

しかし、ほくろ除去に凍結療法が用いられることはあまり多くありません。

理由は、効果が不確実で再発しやすいためです。

凍結で完全に母斑細胞を死滅させるのは難しく、特に色素が真皮深くにあるほくろでは取り残しがちです。

そのため何度も繰り返し凍結する必要があり、その度に施術部位が炎症を起こして一時的な色素沈着(シミ)が半年~2年程度残るケースもあります。

まとめ

自分でほくろを取る方法とそのリスク、そして安全なクリニックでの除去法について解説しました。

繰り返しになりますが、ほくろ除去を自分で行うのは非常に危険です。

傷跡や火傷痕が残ったり、ほくろが再発したり、最悪の場合は皮膚がんを見逃してしまうリスクすらあります。

編集部

ネット上の自己流の方法に惑わされず、絶対に避けてください。

ほくろは基本的に良性で放置して問題ないものも多いですが、どうしても除去したい場合は必ず皮膚科・形成外科など専門の医師に相談しましょう。

専門医であればほくろが悪性でないかを適切に診断し、レーザーや切除など最も適した方法で安全に除去してくれます。

医療機関での処置なら感染症リスクも低く、傷跡を最小限に抑える工夫もされています。

特に大きなほくろや顔のほくろなど、見た目に関わるケースでは自己判断せずクリニックでカウンセリングを受けてください。

多くの美容皮膚科・美容外科では無料相談や予約制で診察を行っています。コンプレックス解消のためにも、まずは信頼できる医師に相談することが一番の近道です。

あなたの大切な肌を守るため、安易な自己処理ではなく安全な医療の力を借りましょう。

当記事の執筆者
カンナム美容外科の編集部
現役看護師
カンナム美容外科
編集部
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経歴・詳細
当記事の編集部は、国立大学の看護学部を卒業後、同大学院にて看護管理学を修了。大学病院で集中治療室(ICU)の看護師として経験を積み、重症患者のケアや急性期医療に精通しています。その後、看護師の経験を活かしてカンナム美容外科のコラム編集部に参画しています。

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